走る練習に“目的”はあるのか?—心拍データから見える意図
フルマラソンのタイムを向上させたいから、とりあえず距離や時間を目安に走るだけ。
そんな練習していませんか?
日々のランニングやトレッドミルでのトレーニング。
何気なく走っているように見えても、実はその裏に明確な目的が隠れていることがあります。今回は、実際に私が行った練習の心拍データのスクリーンショットをもとに、「この走る練習は目的を持って行われているのか?」を読み解いてみます。

データで見る2つのセッション
左右両方の写真をみると運動時間はいずれも20分程で、平均心拍数は130ほどで一緒ですが、その内容をよく見ると違いが判るかと思います。
① トレッドミル
• 平均心拍数:134 bpm
• 最大心拍数:150 bpm
心拍ゾーンの割合:
• 有酸素ゾーン(119〜135 bpm):50%(9分37秒)
• 無酸素ゾーン(136〜152 bpm):41%(7分55秒)
• インテンシブゾーン(102〜118 bpm):8%(1分33秒)
• VO₂ maxゾーン(153〜171 bpm):0%
② 屋外ランニング
• 平均心拍数:131 bpm
• 最大心拍数:171 bpm
心拍ゾーンの割合:
• インテンシブゾーン(106〜118 bpm):40%(9分29秒)
• 無酸素ゾーン(136〜152 bpm):20%(4分49秒)
• VO₂ maxゾーン(153〜171 bpm):19%(4分37秒)
• 有酸素ゾーン(119〜135 bpm):18%(4分20秒)
目的を持ったトレーニングの証拠
これらのデータから見えてくるのは、単なる「走る」ではなく、私が心拍ゾーンを意識してトレーニングをしているのがわかりますね。
• トレッドミル走での目的は、乳酸性作業閾値(Lactate Threshold)の向上です。
無酸素性作業閾値とは、体が乳酸を急激に蓄積し始めるポイントのことで、持久力系の競技において非常に重要な指標です。実際の刺激の時間を見ると10分程とさほど刺激を与えられてはいませんが…
• 屋外ランニングの目的は、VO₂ maxの向上です。VO₂ max(最大酸素摂取量)とは、運動中に体が取り込んで利用できる酸素の最大量を示す指標で、持久力や心肺機能の強さを表す重要な数値です。
経験上、自身の最大心拍数まで心拍数を上げることは難しいのですが、最大努力して、普段自分が感じることのない強度まで身体に刺激を与えることが大切です。
目的”があるからこそ、成長がある
目的を持ったトレーニングは、ただのエクササイズを「トレーニング」として成り立たせてくれます。
心拍ゾーンを意識することで、体への負荷をコントロールし、効率的に目標達成へ導くことができます。
今回の2つのデータは、まさにその好例です。
屋内では乳酸性作業閾値(Lactate Threshold)の向上、屋外ではVO₂ max(最大酸素摂取量)の向上。
それぞれの目的に応じた負荷設定がなされていることが、心拍ゾーンの分布から読み取れます。ところが振り返ってみると、自分が思っていたほど目的とする心拍ゾーンに十分な刺激を加えられていなかったな、と感じました。
皆さんのランニングでも「狙ったゾーンに届いていない」と思うことはありませんか?そして、そもそも自分にとっての目的に応じた心拍数を把握していない方は、こちらの計算機で自分の心拍ゾーンを確認してみて下さい。
最近効果が頭打ちだなぁとい感じるかたは、心拍ゾーンを意識してトレーニングしてみましょう。
走る練習には“意図”がある
「ただ走る」ではなく、「何のために走るか」を意識することで、トレーニングは格段に意味を持ちます。
今回のデータからは、目的に応じた心拍管理がなされていることが明らかであり、走る練習が計画的に行われていることがわかります。
あなたのランニングにも、目的を持たせてみませんか?心拍ゾーンを意識するだけで、トレーニングの質が大きく変わります。
合同会社オルディナリオは、一人ひとりの目的に合わせて、トレーニングの効果を効率よく導くお手伝いをしています。あなたの挑戦を、私たちが支えます。
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合同会社ORDINARIO業務執行社員/CSCS*D/NSCA-CPT/NSCAジャパンレベルⅡ認定/スポーツ医学検定1級/座右の銘「普通」/ Team 「ULTRUN」/トライアスロンチーム「アイアンノビス」マネージャー/日本トライアスロン連合公認審判員(第3種)/JSPOスタートコーチ(ジュニア・ユース)
現在は池袋、氷川台にて一般の方を主にパーソナルトレーナーとして活動しています。マラソン、トレイルランニング、トライアスロン愛好家。フルマラソンサブ4達成、ウルトラマラソン100km完走、IRONMANミドル完走。現在、IRONMAN完走を目指し日々精進中。