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マラソン後半、脚が動かない…「30kmの壁」の正体を紐解く

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30㎞の壁とは?

皆さん、こんにちは!マラソン楽しんでますか?
フルマラソンに挑戦したことがある方なら、一度は経験したことがあるかもしれない、「30kmの壁」と言われる30km付近で急に足が動かなくなる現象。

これは感覚的な話ではなく、エネルギー収支で説明できる現象です。

つまりは体内にある糖質の売り切れです。

マラソンに起こるエネルギーコスト

個人差がめちゃくちゃ大きい(※ここ注意が必要)のですが、ざっくり言うと

1 kcal × 体重 × 距離(km)

例えば体重70kgなら:

1×70×42.195=2953.6

約2954kcalとなります。

体内の糖質タンクは2000kcal程度

一方で、体内に蓄えられている糖質の量は、2000 kcal程度です。

フルマラソンにおけるエネルギー産生は糖質だけではありませんが、ここでは便宜上、糖質のみを使ったと仮定します。

2000÷70=28.6

つまり、28.6㎞で燃料がガス欠を起こしてしまうことが必然

更には、ランニングフォームの非効率さ、外的要因(気候や路面の状況など)、内定要因(当日の体調、前日の栄養摂取状態)なども相まって、それ以前にガス欠を起こす可能性は大です。

ここまでくれば、わかりますね。

つまり、

30kmの壁の正体は【燃料切れ】

30kmの壁を克服する3つの対策:
補給・筋トレ・ペース配分

では、これを防ぐにはどうしたら良いでしょうか。

① 戦略的な糖質補給

■ レース前:グリコーゲンを満タンにする

いわゆるカーボローディングです。

  • レース2〜3日前から糖質多め(ご飯・麺類、パンなど)

  • トレーニング量は落として消費を抑える(トレーニングの強度は維持)

  • 水分もしっかり取る(グリコーゲンは水と一緒に蓄えられる)

■ レース中:枯渇しないように糖を補給する

エナジージェルなどを活用し、必要なエネルギーを計画的に補給しましょう。

先述の通り、体重70kgの方がフルマラソンを走りきるには約2954kcalが必要です。体内の糖質タンク(約2000kcal)との差分を埋めるには、エナジージェル(1個あたり約120kcal)を数個活用し、こまめに摂取するのが理想的です。

もちろん、走行中は脂質もエネルギーとして利用されるため、不足分すべてを糖質で補う必要はありません。私自身は、内臓への負担も考慮して「1時間に1つ」を目安に摂取するようにしています。

大切なのは、エネルギーが枯渇してから摂るのではなく、「切れる前に足す」こと。スタート前30分から、30分〜1時間おきにこまめに摂取することを心がけましょう。

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②糖の消費を抑える

■ランニングエコノミーの向上

ランニングエコノミーが良いとは、簡単に言うと

「同じペースでも消費エネルギーが少ない状態」 のことです。

つまり、同じスピードで走っていてもより少ないエネルギーで走れる人ほど、ランニングエコノミーが良いと言えます。このランニングエコノミーを改善する方法の一つが、ウエイトトレーニングです。

筋力トレーニングによって、体重に対する筋力やパワーが向上すると...

仮に、一歩進むのに必要な筋力を「40」とします。
もともとの最大筋力が100だった場合、

40 / 100 = 40%

つまり、毎歩ごとに最大筋力の60%を使っている状態です。
ここでウエイトトレーニングによって最大筋力が120に向上すると、

40 / 120 = 30%

となり、同じ動作でも使っている割合は50%に下がります。

つまり、1歩あたりの“負担の割合”が小さくなる

これによってエネルギーのロスが減り、結果として同じペースでも消費エネルギーが少なくなるランニングエコノミーの改善につながります。

更には、余力が生まれることでもっと速い速度で走ることも可能になりますね。

■脂質代謝能力を高める

マラソンでは、長時間にわたってエネルギーを供給し続ける必要がありますが、体内に蓄えられる糖質(グリコーゲン)には限りがあり、すべてを糖だけでまかなうことはできません。

そのため、できるだけ糖の消費を抑えながら走ることが重要になります。

そこで鍵となるのが、脂質(遊離脂肪酸)をエネルギーとして利用する能力です。

脂質は体内に豊富に蓄えられているため、これをうまく使えるようになることで、糖の消費を抑え、エネルギー切れを防ぐことができます。

この脂質代謝能力を高めるために有効なのが、LSD(Long Slow Distance)のような低強度・長時間のトレーニングです。

ゆっくり長く走ることで脂質を使う代謝経路が発達し、同じペースでも脂肪をより多く使えるようになります。

その結果、糖質の消費を抑えながら走ることができ、グリコーゲンを温存できるため、30km以降の失速を防ぎやすくなります。

つまり、マラソンで最後まで走り切るためには、「糖を補うこと」と同時に、「脂肪を使える身体を作ること」が不可欠なのです。

■ペースマネジメント

気負うあまり前半からオーバーペースになったり自分のフルマラソンにおける適切なペースを理解せずに、走るだけでは途中エネルギーが切れること必須。

普段の練習から心拍数などをチェックしてフルマラソンにおける最適なペースを把握し、後半に糖が枯渇しないようなペースを維持することが大切です。

まとめ

マラソンは単なる根性論ではなく、エネルギーと効率をいかに管理するかという競技です。

日々のトレーニングでは、ウエイトトレーニングによって筋力やパワーを高めランニングエコノミーを改善するとともに、目的を持ったランニング練習によって持久力や脂質代謝能力を高めていきます。

そしてレース本番では、適切なエネルギー補給無理のないペースマネジメントによって、体内のエネルギーをコントロールしながら走ることが求められます。

これらがうまくかみ合ったとき、30kmの壁を乗り越え、最後まで大きく失速することなく、気持ちよく走りきることができるはずです。

参考文献

Di Prampero, P. E. (1986).
Gross energy cost of horizontal treadmill and track running.
Journal of Applied Physiology, 61(1), 343–349.

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