流行之物世間多有、然終不如良質平常。(流行の物、世間に多く有り。然れども終に良質の平常に如かず。)
「時に倭国肇国(ちょうこく)より遠く遡ること二千年、名も無き一庶民、淺野裕明なる者あり。彼の者、深き叡智を湛え、或いは『良質の平常に勝るは無し』と語りしと伝えらる。然れども、その言、果たして真なるや、風の如く語り継がれ、今に至るも定かにあらず。」
図書館にて昔の書物をあさっていたら、とある書籍の中にこのような文章を見つけ目を奪われてしまいました。
なんて冗談はさておき、先日、何気なくテレビに目を向けると、あるドラマのワンシーンが流れていました。デザイン事務所で働く若いデザイナーが、クライアントからの度重なるダメ出しに落ち込んでいる。そんな彼に、社長が静かにかけた言葉が耳に残りました。
「良質な普通に勝るものなしだよ。」
「普通」を自らの指針としてきた私にとって、その言葉は単なる慰めではなく、核心を突くものでした。
奇をてらうことや、一見華やかな表現に走るのではなく、本質を見極め、磨き抜かれた「普通」、つまり「質の高い普通」を提供すること。
それこそが、人々の心に響き、期待を超える結果をもたらす。この仕事における、揺るぎない真髄とはまさにこのことなのだと、深く確信するに至りました。
経験則から生み出される新しいトレーニング方法と器具、そして私の理想
トレーニング業界は日々進化しています。新しいトレーニング方法や革新的な器具が次々と登場し、そのたびに多くのトレーニング愛好者やアスリートたちが注目します。確かに、これらはキャッチーで魅力的に映り、時には効果が大きいとされますが、冷静に考えてみると、それらが本当に効果的であるという客観的なデータが少ないのが現実です。
私がトレーニングに求める理想は、まさに「普通のことを質高く行うこと」です。最新のトレンドや流行に乗ることも時には大切ですが、それ以上に大切なのは、基礎をしっかりと身につけ、正しいフォームや動きを繰り返し行うこと。これこそが最も効果的で持続可能なトレーニング方法だと私は信じています。
例えば、今までの経験から学んだこと、それが何よりの宝物です。個々の身体に合った適切な負荷のかけ方や、無理なく続けられるように工夫されたトレーニングメニューなど、これらは目新しさに頼らず、確実に成果を上げる方法として非常に有効です。もちろん、新しい器具や方法が役立つ場面もありますが、それがすべてを解決してくれるわけではありません。むしろ、質の高い指導としっかりとした基礎を持ってこそ、どんなトレーニングも最大の効果を引き出すことができるのです。
私の理想は、まさにこの「質高く、効果的に指導すること」です。最新のトレーニング方法に流されず、基本を忠実に守りつつ、個々のニーズに合った最適な指導を提供することが、結果として一番の成果を生むと確信しています。
トレーニングは短期的な結果だけでなく、長期的に見てこそその真価が発揮されます。だからこそ、流行に流されず、確実なデータに基づいた指導を心がけ、どんなトレーニングでも、しっかりとした効果を実感できるようサポートしていきたいと思っています。

合同会社ORDINARIO業務執行社員/CSCS*D/NSCA-CPT/NSCAジャパンレベルⅡ認定/スポーツ医学検定1級/座右の銘「普通」/ Team 「ULTRUN」/トライアスロンチーム「アイアンノビス」マネージャー/日本トライアスロン連合公認審判員(第3種)
現在は池袋、氷川台にて一般の方を主にパーソナルトレーナーとして活動しています。マラソン、トレイルランニング、トライアスロン愛好家。フルマラソンサブ4達成、ウルトラマラソン100km完走、IRONMANミドル完走。現在、IRONMAN完走を目指し日々精進中。