アジリティとは?
「アジリティ」という言葉は、ここ何年かで定義が大きく変わってきました。
以前は単に
「加速、減速、方向転換を行い素早く走る」
と捉えられていました。
つまりは、「方向転換スピード(Change of Direction Speed; CODS)」とほぼ同義でしたが、近年は「知覚・判断・反応を含む、状況に応じた素早い方向転換能力」として捉えられるようになっています。
しかし、その“新しいアジリティ”を数値化して評価する方法は、残念ながらまだ確立されていません。
近年の定義に基づくアジリティは測れるのか?
最新の定義では「相手の動きに反応する」「予測不能な刺激に応じて動く」といった要素が含まれるため、認知・判断スピードと運動能力を同時に評価する必要があります。
一部では光刺激や映像刺激を用いた「反応アジリティテスト」が行われていますが、実際の競技場面での駆け引きや予測まで含めることは難しく、現場で標準的に使える測定法はまだありません。
そもそもその様な測定器具を持ち合わせている現場は、ほぼないといっても過言ではない。(おいしい給食の甘利田先生風に)
現場で使える評価は「CODS」
そこで、現実的な方法として注目されるのが CODS(方向転換スピード) の評価です。
これらのテストは、以前よりアジリティーの測定方法として用いられてきました。
CODSは「純粋に動作の速さ・力強さ」をタイムとして数値化できるため、再現性が高く、トレーニング効果の確認にも役立ちます。
主なCODSテスト
Pro-Agility(5-10-5)テスト
T-test
Illinois Agility Test
テスト名 | 内容 | 判断力の要素 |
---|---|---|
Tテスト | 前後左右の決められた動き | 含まれない |
Illinois Agility Test | コーンを使ったジグザグ走 | 含まれない |
5-10-5 Shuttle(プロアジリティ) | 方向転換の速さ(横方向) | 含まれない |
これらのテストにもそれぞれ特徴があるため、競技特性を踏まえて測定方法を選択することで、知りたい内容をより的確に反映させることができます。
CODSとアジリティの関係
CODSはあくまでアジリティーの「基盤となる動作能力」を数値化するものです。
実際の競技アジリティには、これに「予測」「判断」「反応」が加わります。
したがって現場では、
- CODSテストで基礎的な能力を数値管理
- なるべく試合と同じ状況を作り、プレーすることで判断・反応の要素を鍛える
この両輪で選手のアジリティを高めていくのが現実的なアプローチであると考えます。
まとめ
- 新しい定義に基づく「本来のアジリティ測定」は、現場ではまだ不可能に近い。
- 代わりに CODS(方向転換スピード)を評価指標として活用するのが現実的。
- 予測、判断、反応などの部分は試合形式の練習の中で養う事が大切。
参考文献
Sheppard J. M. & Young W. B. (2006). Agility literature review: classifications, training and testing. Journal of sports science. 24(9), 919-932.
NSCAジャパン(監訳).(2008).『ストレングストレーニング&コンディショニング 第2版』. ブックハウスHD.
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合同会社ORDINARIO業務執行社員/CSCS*D/NSCA-CPT/NSCAジャパンレベルⅡ認定/スポーツ医学検定1級/座右の銘「普通」/ Team 「ULTRUN」/トライアスロンチーム「アイアンノビス」マネージャー/日本トライアスロン連合公認審判員(第3種)
現在は池袋、氷川台にて一般の方を主にパーソナルトレーナーとして活動しています。マラソン、トレイルランニング、トライアスロン愛好家。フルマラソンサブ4達成、ウルトラマラソン100km完走、IRONMANミドル完走。現在、IRONMAN完走を目指し日々精進中。